Heritage

1929年
はじまり

宝石商の世界で名を馳せる、カッツォーラ家の初代宝石職人となったウンベルト・カッツォーラは、自身にとって初めての金細工工房を、20人の職人を率いて1929年に開設しました。彼の革新的かつ先駆的なアプローチは、のちに息子のオディーノへ受け継がれました。

1950年代
最先端の工房

第二次世界大戦後、イタリア全土を巻き込んだ強力な経済成長の恩恵を受け、最新鋭の機械を揃えた工房に生まれ変わりました。さらにオディーノは最新鋭の技術と設備に投資し、1960年代まで同工房の製造の中核を担った、伸縮性のある金属製ブレスレットといった革新的な製品を開発できるようになりました。1948年、FOPEはヴィチェンツァ見本市で、最先端の技術を操る最も優秀なゴールドスミス(金細工職人)による作品の数々を初披露しました。

1960年代
FOPE: Factory of Jewellery Precious Export

“Italian Factory Metal Strap“を意味するイタリア語の頭文字をとったFICMは、独自の製法およびデザインで腕時計用の金属製のブレスレットを製造する、イタリアで最初の会社でした。スイスの一流時計メーカーが要求する極めて高い品質基準を、自社の革新技術と職人のクラフツマンシップによって満たし、イタリアの大手サプライヤーとなりました。1960年代末、オディーノはFICMという社名を、“Factory of Jewelry Precious Export”の頭字語をとってFOPEと変更しました。

1970年代
第3世代

ウンベルト(祖父の名を継承)と彼の妹のイネスは、開発研究に徹底的に投資し、最先端の技術を完全なものとすることで、それまでのファミリービジネスを一変させました。それから数年間、FOPEはゴールド製の腕時計用ブレスレットと本体ケースの製造に特化し、やがて洗練されたジュエリーを創作するための新しい技術を試行し始めました。

1980年代
ノヴェチェントメッシュチェーンを発表

ウンベルトとイネスを中心とする第3世代がファミリービジネスに加わると、FOPEはそれまでに蓄積された豊富な専門知識を、独自のゴールドジュエリーコレクションの制作に注ぎ込みました。1985年には、今日FOPEのブランドアイコンとなっているノヴェチェントメッシュを完成させ、さまざまなデザインに仕上げました。ブランドのシグネチャースタイルは、イタリアで、その後世界的に成功を収めました。

2000年代
国際的なブランドに

FOPEは、ヴィチェンツァの中心に新しい本社屋を設立しました。モダンな建物は、オフィス機能と製造部門の双方が収まるよう設計されています。この場所で、FOPEはクラフツマンシップと最先端技術の融合を継続すると同時に、特色ある優れたジュエリーコレクションを守り続けています。
この数年間で、ウンベルトの娘のジュリア(2019年逝去)が第4世代としてFOPEに加わりました。彼女はニューヨークに米国支社を開設、ブランドのマーケティング戦略、また取締役メンバーにも名を連ね、FOPEの世界進出のための重要な役割を担いました。

2007年
Flex’it – スタイルとイノベーション

Flex’itは、18Kゴールドのみでつくられた、伸縮性に富んだブレスレットやリングで構成されるラインです。それぞれのリンクの間に隠された小さな18Kゴールド製のバネによって全体に伸縮性が与えられています。
FOPEは数十年も前にこの画期的なシステムを開発し、2007年に特許を取得するとともに、ブランドのシグネチャーとなっているゴールドメッシュチェーンにこの技術を採り入れました。エカコレクションが発表されるやいなや、それまでの女性のジュエリー着用に対する考え方に革命が起こりました。独自のメッシュ状チェーンは、24時間手首に着用することのできる新しいマストアイテムとなったのです。

2014年
RJCの認定メンバーに

FOPEは、2013年からRJC(責任ある宝飾品業のための協議会)に加盟し、2014年からは認定メンバーとなっています。
RCJ認定(2017年秋に2回目の監査後に更新済み)は、FOPEジュエリーの品質と製造プロセスの倫理規範をより厳しく保証するものです。
RJCは、基準設定および認証を行う国際的な非営利機関であり、鉱山から店舗に至るまでのジュエリーサプライチェーンを展開する500以上の企業が加盟しています。

2015年
FOPEの旗艦店第一号がオープン

2015年は、FOPEにとって非常に特別な年となりました。
ヴェネチアにオープンした旗艦店第一号店は、旧行政館に面した歴史的な回廊内にあり、美しいサンマルコ広場を眺める二つの大きな窓が配されています。FOPEは、建築家でありデザイナー、そしてアートディレクターも務めるフラヴィオ・アルバネーゼおよびASASTUDIOと密に協力して、既存の設備を再設計し丁寧に改装、また現代的なタッチも随所にちりばめました。
その結果、木製の壁がんやヴェネチアンファブリック、ブランドのシグネチャーパターンをあしらった壁紙を配した、二つの洗練された居心地の良い空間が誕生しました。どちらの部屋も特注のランタンによって繊細な光に包まれ、FOPEならではのショッピング体験に浸ることのできる、極上の雰囲気に仕上がっています。

2016年
イタリアの株式市場に参入

FOPEがミラノ証券取引所でベルを鳴らしたのは2016年11月30日。同証券取引所の小規模成長企業向け国際市場であるAIMイタリアにて、株式公開を果たしました。FOPEのCEOディエゴ・ナルディンは、次のように喜びを語りました:「これは会社の成長にとって重要なステップです。第一に、私たちの努力と成果に対する正式な評価を表しています。またこれは、国際的な高級ブランドとしての、私たちの野心的な目標への出発点であることを意味しています。」

2017年
レディフォッペ発表

最初のFlex’itコレクションの発売から10年後、FOPEはエレガンスと革新性を兼ね備えた18Kローズまたはホワイトゴールドのウォッチコレクション“レディフォッペ”を発表しました。クォーツムーブメントを搭載したスイスメイドの時計とFlex’itブレスレットが一体となったユニークな時計が完成しました。

2019年
創業90年 アニバーサリーイヤー

2019年、ブランドイメージを再構築するべく、FOPEは壮大な自社の起源と価値観を軸に、リブランディングを行いました。ロゴ、ブランドカラー、コミュニケーションツールといったブランドアイデンティティにまつわるあらゆる要素が、創業90周年を記念し生まれ変わりました。ひとつのファミリーが時とともに著しい成長を続けてきたことは、素晴らしい偉業です。 さらにFOPEは、ブランドのシグネチャーであるエカコレクションの新バージョン“エカ アニヴェルサリオ”を発表しました。ゴールドのロンデルを、さりげなく、しかし根本からリデザインしたのです。イタリアならでのエレガンスと高い品質、そして快適な着け心地を求める方に真の喜びをもたらすアイテムは、この他にもさらなる新作プロジェクトが進行中です。

メイド・イン・ヴィチェンツァという誇り

豊かな歴史と文化を誇るヴィチェンツァは、絶えず才能と素晴らしい伝統を育んできました。最も影響力のあるルネッサンス建築家の一人として広く認識されているアンドレア・パラディオを生んだ街としても有名です。

またヴィチェンツァは、アレッツォやヴァレンツァとともに、イタリアのジュエリーづくりの歴史的中心地の一つでもあります。大小さまざまな工房が絶え間なくこの街で金細工を行い、世代を超えて受け継がれる深く根差した伝統を生み出してきました。ここに、20世紀の変わり目に最初の工房を立ち上げ、それ以来FOPEの作品をつくり続けてきた家族のルーツがあります。 彼らはこの豊かで共有された文化を享受し、イタリアンスタイルの新しい解釈を見出してきました。

FOPEはまた、イタリアの芸術家やミュージシャンを世界中に広め、街の文化活動を支援することにも取り組んでいます。

FOPEとカッツォーラ家は1929年以来、美しいジュエリーをつくるための技術を磨き続けています。

FOPEが試行と技術革新を続ける中、近年の国際的な成功とグローバル化は、ブランドにいくつかの重要な選択を促しました。何よりもまず、ヴィチェンツァに留まり、製造プロセスの構造化と生産のコンピューター化に多額の投資をするという決定です。

ほとんどがカスタマイズされた最先端のマシンは最も傑出しており、FOPEの工業的アプローチは絶えず進化しています。同時に、FOPEの熟練したゴールドスミス(金細工職人)の専門知識にはかけがえのない価値があり、それこそがすべての作品をとてもユニークなものにしているのです。